だんだんいかにもこれはまずいと、草を掻き分け、必死に探す。
首輪がどこかにひっかかっているかもしれない、川に転落してるかもしれない。
でもどれだけ探しても呼んでも来ない。
2分ほど前まで木の根元の草を食べていたのに。。
ピノちゃんのおとうさんがいったん帰ってから、自転車できてくれる。
もしか家に戻っているかもと私もいったん帰って、とりあえずふたりにご飯を食べさせる。
大慌てで馬肉と人参だけの。。
長靴が川にはまってびしょぬれになったので着替える。
今度はワトとロタを車に乗せて再度土手へ行く。
タイヤ換えてあってよかった。。
警察と保健所と近所の駐在さんに電話をする。
ぱぱじに電話すると「居なくなった所から動いてはだめだ」と言うので、見つかるまで動くか!と長期戦覚悟で探す。
ピノちゃんのおとうさんがもう一度来てくれた。
駐在さんもパトカーで探してくれる。
でもどれだけ探してもいない。
ピノちゃんのおとうさんに、河口付近ともう一度家を見に言ってほしいとお願いし、私は土手の上から目を凝らす。
遠くでカラスが動いていると、セレンに見えたり、雪が木から落ちた音でセレンかと思う。
呆然と土手にたたずむ。こんな時に限って吹雪いてくる。
暫くして
「よしセレンと通信しよう」とアニマルコミュニケーションさながらに、セレンに問う。
『セレン、居場所を教えて』と。
さらに土手に立ち、暫くすると団地の方向から「うぁん うぁん」と声が聞こえた。
風向きから、よく団地の方角から犬の声が聞こえる事があるが、その声はいまだ聞いた事のある近所の犬ではないような気がした。
動いてはいけないと思いつつ、帰ってみることにする。
団地の入り口でピノちゃんのおとうさんを発見。
入り口を入ろうとした瞬間、車の屋根の雪がフロントガラスに全部落ちてきて、前が見えなくなった。
こういう時に限って出ようとする車、後ろから2台の車。
なんてこった!いったん停まって雪をどける。皆にぺこぺこ謝って。。
ようやく車を脇へ停め、おとうさんと話す。
「携帯へ電話したけど通じないよ、セレンちゃん帰っていたよ」と。
帰るとセレンはリードで玄関ドアに引っ掛けられていました。
携帯が無い事に気がつき、どうやらどこかへ落としたみたい。
電源も入ってないみたいなので、水没かもしれない。
でもセレンが帰ってきた!
奇跡だと思った。
帰巣本能なんてものは、セレンには無いと思っていたし、我が家の末っ子で頼りなくって、家に一人で帰るなんて、絶対に出来ないと思っていた。
ひとり雪道を帰ってくる様子を想像すると、なんとも切ない。
心なしか、セレンのお腹が膨らんでいるように見える。
何か食べていたんだろう。。
帰ると12時を回っていた。
4時間近くも探していたんだ。
すぐあちこち連絡し、朝から何も食べてなかったので、少しパンとコーヒーを飲む。
もうセレンは帰ってこないような気がして、恐ろしい気持ちになりました。
ピノちゃんはよく逃亡してもちゃんと帰ってくるけれど、まさかセレンがちゃんと帰ってきたなんて。。
携帯もまた落としてしまいました。。またしても。。
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